アメリカで最初のCD購入。Coffee&Cigarettesのサントラ。前から欲しかったけど日本だと高かった。「This is not a record shop」という洒落た名前のサンフランのレコード屋が送ってくれました。


今日は読書デーとすることにし、Coffee&Cigarettesを聞きながらエリック・ホッファーの自伝を読んだ。

彼は放浪者、季節労働者、沖仲士として一生を過ごしながら人生やアメリカや西洋文明・歴史への深い洞察を残した。

人生には奇跡と思われるような経験が何度かあると思うが、彼の場合そのきっかけになったのは人懐っこさと優しさからくるちょっとした勇気だったように思う。

運命的な女性との出会いやバークレーでの大学の仕事にも、彼は安住しなかった。

「どんな問題であれ、つねに答えを知っている人間がそばにいたら、自分自身で考えることをやめてしまうだろう」

彼は自分の頭で考えたことだけを信じていた。


「自己欺瞞なくして希望はないが、勇気は理性的で、あるがままにものを見る。希望は損なわれやすいが、勇気の寿命は長い。希望に胸を膨らませて困難なことにとりかかるのはたやすいが、それをやり遂げるには勇気がいる。闘いに勝ち、大陸を耕し、国を建設するには、勇気が必要だ。絶望的な状況を勇気によって克服するとき、人間は最高の存在になるのである。」


「人間という種においては、他の生物とは対照的に、弱者が生き残るだけでなく、時として強者に勝利する。『神は、力あるものを辱めるためにこの世の弱きものを選ばれたり』という聖パウロの尊大な言葉には、さめたリアリズムが存在する。弱者に固有の自己嫌悪は、通常の生存競争よりもはるかに強いエネルギーを放出する。明らかに、弱者のなかに生じる激しさは、彼らに、いわば特別の適応を見出させる。弱者の影響力に腐敗や退廃をもたらす害悪しかみないニーチェやD.H.ロレンスのような人たちは、重要な点を見過ごしている。弱者が演じる特異な役割こそが人類に独自性を与えているのだ・・・」


厳しい環境に身を置いて難しいことを考えており、彼の文体やライフスタイルからは一見ストイックな人のように見えるけれど、彼は人生を楽しみ、自惚れることなく自分にとって大事と思えること、やりたいこと、興味のあることに打ち込んでいるだけだ。「誰でも面倒さえ厭わなければ立派な本を書ける」と彼は言う。

「自分の仕事を意義深いものにしてくれと要求することは、人間の見当違いだと、かつてサンタヤナは言いました。産業社会においては、多くの職業が、それだけを仕上げても無意味だとわかっている仕事を伴っているのです」。彼は、どこにでもある仕事を真摯にこなしながら、しかし仕事に盲従することはなく広い視野を持ち、かつ仕事から学べるものは学び、仕事を通じて得られる出会いを楽しみ、「満たされることのない欠乏感と自らの価値に対する疑念」から逃れられなくても、自らの信念に従い、仕事をしない時間は最大限に使って誠実に楽天的に生きていた。・・・ってここまで書いてみてこれって結構普通やんと思った。いい感じの人はだいたいそんな感じで生きとる。感動するのは誰もが持っているはずの虚栄心や利己心が彼には皆無だからだろう。ベリークール。

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