ドラッグの種類と世界の状況については、大学時代にSnoozerの「ドラッグと反アメリカ」号を読んでたから、おれはアメリカにきてからもあまり驚かんかったけど、こっちにきた日本人はびっくりすることが多い。アジア人はパーティをやってもだいたい酒を飲んで酔っぱらっていい気分になったり数々の愚行したりするだけだけど、ヨーロッパ人がたくさんいるパーティに行くとほぼマリファナがある。
日本ではマリファナですらかなりのタブーで、NHKに入った時の最初の研修で大麻の平和利用についての番組を作ろうとして企画書を出したら、「真面目にやれ」って結構怒られたけど、こっちでは普通に学校の先生とかでもマリファナの話をしてます。
今日、授業で「マリファナの非犯罪化(decriminalization)」についてディヘートをした。下調べでオランダ外務省のホームページを見たりして、マリファナを巡る議論にちょっと詳しくなりました。
「非犯罪化」というのはオランダ等の取っている方針で、よく言われる「オランダはマリファナが合法」というのは間違い。「マリファナの使用」については、「違法」だけど起訴はしない、ということにして、少量だけコーヒーショップで販売するのを認める。その理由は、①違法なディーラーから買うともっとハードなドラッグ(ヘロインやコカイン)を勧められるから、登録された店でマリファナだけを売るようにする。②ハードなドラッグの広まりがヤバすぎるから、とりあえずまずはそっちの取り締まりと普及の予防に力を入れるため(いわば非常措置)
オランダ外務省の資料によると、マリファナをやったことがあるアメリカ人は36%、過去一ヶ月の間にやった(=日常的にやっている)人の割合は17%、コカインをやったことがある人は13.8%。この数値、すべてオランダよりアメリカの方が高い。コカインをやったことがあるオランダ人は3.4%なので、アメリカがどれだけやばいかがわかる。非常事態の政策を取っている国の4倍。
今日うちのホスト娘の高校生の女の子と話してたら、たぶんアメリカの高校生の90%はドラッグをやったことがあるんじゃないかって言ってた。でもこれはアルコールも含む。(欧米ではアルコールもドラッグに入る。)アルコール以外のドラッグだとだいたい70%はやったことがあるんじゃないか、とのこと。ここまでとは。この70%っていうのはたぶん日本でアルコールを飲んだことがある高校生と同じぐらい?だろうから、それぐらいドラッグが広まっているのである。そしてマリファナ以外のハードなドラッグをあったことがある高校生も40%くらいなんじゃないかと言ってた。
アメリカの高校では警察による抜き打ちのドラッグ検査があるらしい。校長先生とかにも内緒で、突然警察が警察犬を連れてきて、教室を回って調べるらしい。でみんな携帯電話の電池の裏にかくしたり、警察が来たっていう情報が回ってきたらソッコーでトイレに流しに行ったりするらしい。あとおとり捜査で、警察官が高校生になりすましてしばらく高校生活をやって、「ドラッグ売ってる人紹介してよ」とかいって見つけて懲らしめる。あと90年代みたいにエクスタシーをやってレイヴに行ったり、タバコをすったりするのは今の高校生の間では「クール」ではないらしい。そしてドラッグをやって罪を感じたら教会に行って許してもらうらしい。
この話を聞いて思ったのは、アメリカって何なんだろう、ってこと。この状況はどう考えても異常ですよね。世界一お金持ちの国のはずなのに、ここまでドラッグに頼らないと楽しくなれない。結局アメリカ型の社会は幸せにつながらないのか?アメリカ型の社会の仕組みを称賛する人は、こういう負の側面も考えた方がいい。日本はやっぱ世界のいいとこだけアイデアをかりて独自のものにしていく、というお得意の能力を活かして、日本ならではの国づくりをしていくべきだと思います。よく国際化のために内向きな日本人を批判する人がいるけど、内側で独自の文化を熟成/深化させていくことの方が、国際社会でいい感じの国になるには大事だと思う。食とか文化とか環境とか、日本が世界から評価されてるのってそういうところだから。別に日本人がみんな英語がうまくて海外のことをよく知ってるようになったって外国の人からみたら何にも面白くない。
今日の一曲:
ドラッグと言えばこの曲だけど、同じTomorrow Never Knowsでも「桜井さんかっこいー」とか言って、携帯電話の裏にはクスリじゃなくてプリクラ、そんな日本もなかなかいいんじゃないでしょうか。