たまご
2009/02/17 by so
『チェ 28歳の革命』を仕事帰りに新宿バルト9で見た。
村上春樹がエルサレム賞の受賞スピーチで「(わたしが小説を書くとき常に心に留めているのは、高くて固い壁と、それにぶつかって壊れる卵のことであり、)壁がどんなに正しかろうが、わたしは常に卵の側に立つ。」と言っていた。
映画を見ながら、革命の過程でつぶれていった、無名のたくさんの卵のことを考えた。それぞれの卵にそれぞれの人生があり、しかし死ぬのは一瞬で、映画では脇役だ。
でもその卵一つ一つがとても勇敢だった。
そうやって、着実に自分の役割を果たし、人知れずつぶれていった卵の上に、今の社会がなりたっている。
翻って考えるに、自分はそのように着実に自分の役割を果たしているだろうか。
つぶれる覚悟のできた卵になれているだろうか。
そして革命のためにつぶれた卵のことを考え、日本のことを考える。天皇陛下万歳!と言ってつぶれていった卵、「実録・連合赤軍」で見た、同じ革命を目指しながら無意味な粛正でつぶれてしまった卵。みんな真剣に国の将来、家族の幸せを考えていたのだろう。
イスラエルの政策に反対する多くの人が辞退を求める中で、授賞式に出席した理由の一つとして、ムラカミさんは「多くの小説家がそうであるように、私は人に言われたことと全く逆のことを選ぶ傾向がある」と言っていたが、こういうattitudeが、「卵としてつぶれる目的」を確かめるときに大事になってくるんだと思う。ムラカミさんの小説を読んでグッとくることの一つのは、意味がありそうにみえるけど本当は無意味なことを、さらりと、無意味だぜ、って言っているところだ。そして無意味に見えるものに大きな意味があったり。
授賞式へ出席したムラカミさんの選択は、間違っていなかったように思う。コミュニケーションを拒否したらなにも始まらないんじゃないか。映画の中のゲバラは言っていた。「アメリカの政府には異義を唱えるが、アメリカの国民を憎んでいるのではない。」
より強固かつ柔軟な殻と、濃厚な中身を育んでください!
もうすぐ出発やな。
あと、リンクありがとう!
勝手にリンクしてすんませんー。
まだお店行ったことないですけど、いい雰囲気なんでぜひ友人たちに知ってもらえればと思って。
いつか遊びに行きますんでよろしくです。
アメリカでおいしく育つようにがんばります。